オタク文化人類学

二次元に恩を返したい

2次元で考察する母性

通常攻撃が全体攻撃で2回攻撃のお母さんは好きですか?

 

 

完全にタイトルに釣られて買ってしまった。

前にTwitterで声優の島崎信長さんがFGOの頼光ママを見せて特典をもらっていたときから、気になってはいたこの作品。

 

現在2巻まで刊行中でコミカライズも決定しているらしく、このまま刊行されればアニメ化も近い未来に実現するのではないだろうか。

 

 

とりあえず読んでみた所感としては、異世界チート無双作品に該当するのだろうが全くのベツモノであるということだ。

 

国策で行われているMMMMMORPGというMMORPGの世界に主人公がダイブしてしまい、勇者として冒険生活をする...予定だったのだが、なぜか母親もついてきて???

 

というトンデモ設定なのはラノベの特権なのである。

 

近年我々の業界では、バブみだとか、キャラ名にママと付けて呼称するだとかが増加の一途を辿っている。(もちろん僕もその一人)

 

 

端的に上記の言葉を説明すると、「幼女に母性を求める」若しくは「包容力のある年下」ということだと思う。

10年ほど前のオタクは「○○は俺の嫁」に代表されるように、女性は「養う」対象であった。

それが時を経るごとに「養われたい」「甘えたい」の対象へと変遷している。これは如実に日本における男性の結婚観や恋愛観を示していると言っても過言ではない。

日々の生活に疲労したオタクが求めるものとして「母性」が台頭してきているのである。

 

 

 

ここでこの作品「通常攻撃が全体攻撃で2回攻撃のお母さんは好きですか?」を考えてみよう。

この作品に登場する母親は「大好真々子」(おおよしままこ)である。この母親の息子が大好真人(おおよしまさと)である。

いわゆる高校生の思春期真っ盛りで母親とどういう距離感で接したらいいかわからない息子と、夫が単身赴任中で息子ともギクシャクしてしまう母親。この二人が織りなす世界の物語である。

 

「ニッコリと微笑む真々子の目尻にはシワが一本もなく、肌は常に潤いに満ちている。ゆるふわカールの長い髪はキューティクル完璧で天使の輝き。父親の再婚相手というこではない、ガチで普通の母親、高校一年になった息子がいる主婦でありながら、十代少女と余裕で張り合えるほどの超絶的に若く見える真々子である。」(原文ママ)とあるように異様なほど若いのである。

 

さらにいうとこの文はモノローグであり、主人公目線で語られている。つまり主人公真人は母親のことを嫌っているわけではない。というのは非常に重要な前提になっている。

 

 

ここで前述のバブみ、および母性の話になる。

近年語られるバブみとは「幼女、若しくは年下女性に母性をもとめることである」と述べた。しかしこの作品はどうか。

「実の母親」(ただし異常なほど若い)である。つまり上で定義したバブみに則って言えば、真々子はバブみには相当しない。

 

 

では真々子をカテゴライズするならどうなるか。

私の考えでは「お母さん」である。

(私の中では「お母さん」は勝手に息子の部屋の掃除をして、隠していたエロ本を見て「こんなのが好きなのね」と全てをわかった顔をするものである。)

根拠としては、一度言った話を聞いていない、覚えていない、自己完結して納得してしまう、現代機器に弱い、、、などの描写によるものである。

 

 

このバブみの時代に、「お母さん」で勝負を仕掛けるこの作品は、業界に一石を投じるのではないかと私は考えている。

 

内容についてはタイトルにある通りである。母親がチートキャラ。以上。

 

 

私はまだ1巻しか読んでいないので続きを読もうと思う。

 

 

 

バブみでは救えないオタクも、「お母さん」ならば救えるのかもしれない。

母は強し。。。